24時間365日、命に寄り添う覚悟
在宅医療における「24時間365日対応」という言葉は、単なる勤務体制ではなく、生と死に寄り添う覚悟そのものを意味している。クリニックの診療時間が終わっても、患者さんやご家族の暮らしは止まらない。夜中でも、元旦でも、雪の日でも——患者さんが体調不良であれば駆けつける。それは「その人の生活や尊厳」を支えることそのものである。
この体制の厳しさは想像を超える。常に電話が鳴る可能性を意識しながら生活し、家族との食事中でも、子どもの行事の最中でも、急変の報を受ければ現場へ向かう。心身の負担は大きく、休日や私生活の境界が曖昧になることもしばしばだ。しかし、その過酷さの裏側には、患者さんとご家族からの「信頼」がある。「この先生は、いつでも駆けつけてくれる」と感じている。その信頼こそが、地域の在宅医療を支えている。
同時に、「365日対応」は一人で背負うものではない。クリニックの職員、訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャー、訪問介護、地域包括支援センター——多職種が支え合い、リレーのように患者を見守る仕組みを築いていく必要がある。
そして、この「24時間365日対応」がもたらすやりがいは何よりも深い。患者が「家で過ごしたい」という願いを叶えることができるのは、この仕組みがあるからこそ。最期の瞬間を自宅で迎えるその横で、ご家族が「先生のおかげで望みが叶いました」と言う。その一言に、疲労が報われる。
在宅医にとって、いつでも寄り添える体制を築くことこそ、誇りであり使命である。
24時間365日の重さを引き受けながらも、人の命と暮らしに共鳴し続ける——それが、在宅医という職業の厳しさであり、同時に最大のやりがいである。
