高齢者の権利と尊厳について ~安全に生きることと、自分らしく生きること~
高齢になっても、病気になっても、その人の権利や尊厳が失われるわけではありません。
医療や介護の現場では、「本人のために」という理由で、さまざまな制限が行われます。しかし、それは本当に本人が望む生活なのでしょうか。
自由を尊重するということは、ある程度のリスクを受け入れることでもあります。
一例として、嚥下障害のある高齢者に好きなものを食べてもらうことは、本人の権利や尊厳を大切にすることにつながります。しかし、当然ながら誤嚥や窒息といったリスクが生じます。医学的な評価や安全への配慮は必要ですが、危険だからという理由だけで本人の希望を一律に否定することが正しいとは限りません。
一方で、本人の希望を尊重した結果、事故が起きた際に医療者や介護者の責任が問われ、訴訟に発展することもあります。過失があれば責任を問われるべきですが、事故が起きたことと、判断が間違っていたことは必ずしも同じではありません。 結果だけを責める社会では、リスクを伴う選択を支えることが難しくなってしまいます。
病院は病気を治療し、医療上のリスクを最小限にすることが重要な場所です。一方、在宅は本人の生活の場であり、その希望や価値観を尊重することが中心になります。
病院では治療が生活の中心になりやすく、在宅では生活が中心にあり、医療がそれを支える。
安全を守ることは大切ですが、安全だけが人生の目的ではありません。
小瀬ゆい在宅クリニックでは、患者さんやご家族に予想されるリスクを丁寧に説明し、十分にご理解・ご納得いただいたうえで、できる限り安全に配慮しながら、ご本人の希望や尊厳を大切にする医療を実践していきたいと考えています。
長く生きることだけでなく、どう生きるかを大切にする。それが私たちの目指す在宅医療です。
